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[ミッドナイトライブラリー] 人生をやり直してみたら...

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[ミッドナイトライブラリー] 人生をやり直してみたら...

 生死のはざまに意識の中に現れた真夜中の図書館。ここには自分の人生に関するあらゆる過去の記録と、選ばなかった人生のあらゆる選択肢が収蔵されています。恋人とも別れ、仕事もクビになった主人公ノーラ。自らの人生を断ち切ろうとしたその時、ノーラの中に真夜中の図書館が姿を現します。今まで選ばなかった人生のあらゆる可能性を試してみた結果、ノーラがたどり着いた結論とは。今回は海外小説から「ミッドナイト・ライブラリー」(マット・ヘイグ著)をご紹介します。

 真夜中の図書館でノーラが最初に目にしたのは分厚い「後悔の書」。今までの人生の中の様々な後悔、行動しなかったことが書かれています。ノーラはこれらの中から、行動する選択肢、子どもの頃望んでいた人生のルートの選択肢をいくつか追体験してみます。選ばなかった人生の追体験をする中で、ごく小さな決定や行動が周囲の人々や自分の環境に大きな変化を及ぼすということに気づきます。父親の薦めるスポーツでオリンピックまで登り詰めるも、家族関係や精神状態は理想とはかけ離れていたり。趣味だったバンド活動を続けてメジャーデビューまで果たすも、現実の自分が思っていた幸福はつかめていなかったり。選びうる成功、好きな自分を追体験してみても納得できる人生が見つかりません。そして、心から納得しない限り、真夜中の図書館から抜け出すこともできません。理想の人生を探すのに疲れ果てたノーラも、図書館からいよいよ決断を迫られます。成功した自分、恵まれた家庭を築いた自分、平凡な自分...ノーラはついに意を決して図書館を去ることに。

 どんな人でも戻ってみたい人生の瞬間、決断の瞬間、進路、仕事があると思います。あちらを選んでいればきっと成功していた、あの会社で働いていたら今ごろこうなっていたなど、選択し直したい人生は誰にでもあるはずです。過去の選択を選び直す権利を与えられた主人公ノーラは、私たちのそんな希望を身をもって体験してくれます。そして、どう感じ、どう周りの環境が変化するのかも読者に示してくれます。文章全体を通して伝わってくるのは、完璧な人生は用意されていない、全員から素敵だと認められる人生はどこを探しても見つからないということです。また、人生はトレードオフということです。理想とする自己実現と夢を実現した結果、家族は切り捨てる結果となるかもしれません。理想の人間関係に囲まれた結果、都会とは離れた町で静かな暮らしを送ることになるかもしれません。400ページ超の長編小説ですが、人生の「もしも」を思い通りに体験するというわくわくする感覚は、その長さを全く感じさせません。時間の取りやすい夏休みの間におすすめの一冊です。
2022年08月11日 12:11
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