【2022年度茨城県立中学校】適性検査講評
適性検査講評
2022年度の茨城県立中学校適性検査は、昨年度の記述採点のミスの反省を踏まえ、記号問題が大幅に増加しました。適性検査対策として記述対策を重点的に行なっていた塾も多かったと予測できるので、この記号問題の多さに面食らった受験生もいたことでしょう。もっとも、難問と分類されるような設問はなかった印象なので、形式が異なったとはいえ、通常の受験勉強をきちんと行なっていれば高得点が可能な内容だったのではないでしょうか。人気校の倍率は水戸一高付属中が4.91倍、水海道一高付属中が3.78倍、並木中等が3.67倍、土浦一高付属が3.21倍となっています。
適性検査Iは例年通り算数的分野と理科的分野から各2大問ずつの構成となっています。算数分野では図形と角度の標準的な問題、組み合わせ・規則の標準的な問題の出題となっており、図示や書き出しながら考えることで解答を導くことが可能となっており、見積りと計算速度がトレーニングされていれば時間内に完答可能な内容でした。理科分野では生物の観察、食物連鎖、振り子の運動とメトロノームの応用問題が出題されました。生物の観察からは、教科書や資料をきちんと読んでいれば正答可能な内容で、写真などをきちんと見ている生徒には容易だったでしょう。振り子の運動とメトロノームの問題では、図とグラフからヒントを読み取ることも可能で、対策していれば早く正答することが可能ですが、予想できなくても当日読み解くことが可能な内容でした。
適性検査Ⅱは大幅に記号問題が増え、正確な読み取りと読解スピードが求められる内容となっています。出題された記述問題の分量も20字~30字程度で、80字以上の記述対策に時間を割いていた関係者は拍子抜けしたかもしれません。社会分野からは地図記号の読み取り、複数のグラフ・表の読み取りが出題されており、難易度は例年より易し目となっています。歴史・公民の用語を書かせる出題はなく、公立校受験生に不利とならない様な配慮を感じます。
今回の適性検査は適性Ⅱで記号問題が増加したことにより、合格基準ラインも上がっています。合格ラインが高いということは、イージーミスが致命傷につながるという事でもあり、日頃から簡単なミスをしない丁寧な学習が必要でしょう。また、私立中学受験生に有利に働かない様な問題を作成していることから、公立校のみの受験生も標準的な演習と過去問を繰り返す事で合格を勝ち取れるものであると考えられます。難関中学と併願する生徒はもちろん、公立校にしぼって受験する生徒双方にチャンスのある入試であることに変わりはありません。出題形式に惑わされない、盤石な学習が合格を引き寄せます。来年度の受験を目指す新小学6年生にも、前向きなエールを送りたいと思います。
2022年02月19日 14:05