【最高の子育て】遺伝子には個性という余白がある
今回は小児科医・高橋孝雄先生の「最高の子育て」から子どもの能力に環境や遺伝子がどう影響しているのかについてご紹介したいと思います。小児科医としての数々の臨床経験から、生育上の悩み、学校の悩み、習い事の悩みに科学的に答えています。ここでは、誰もが気になる遺伝子が才能にどう関わってくるのかという点にしぼって考えていきたいと思います。
まず、外見、運動能力、お酒に強いか弱いかといった身体的特徴に対しては、遺伝子が有意に関わってくるそうです。そのため、他の子と比較して何か苦手な事があった場合、それが運動や生体上のことでしたら無理に直そうとしても無駄に終わるケースが多いということです。苦手分野ばかり見つけるのではなく、かけっこがどうしても遅いと思っていたら、持久力は高かった。お絵描きは特に上手ではなかったが、歌のリズム感や聞き取り能力が高かったなど、そうした優勢な特性を見抜くことが大切だと高橋先生は説明されています。才能の片鱗を親が見抜けなくても、成長の過程で本人が自覚することもあれば、習い事の先生を通して伝えられることも多々あるそうで、この意味で幼少期に習い事をさせると、その子の優勢な分野が早期発見できるかもしれません。才能や能力を特徴づけるこれらの遺伝子は、良い悪いではなく「個性」として受け入れる気持ちが大切だとアドバイスされています。どの子もそれぞれ個性という名の余白があり、そこを上手く伸ばしてあげることで才能が開花するのではないでしょうか。教育には環境が大切だと言われる場合の環境も、この個性の余白に合った環境提供があって初めて最大限の効果を発揮するのであって、特性も見ない内から焦って環境を追求しなくても間に合うということです。
つい私たちは「あの人は才能が生まれつき違う」などと思ってしまいますが、高橋先生は「極上の遺伝子も劣悪な遺伝子もない」と伝えています。どんなに優れているように見えても、全ては人間という生物の遺伝子の誤差の範囲内に収まるのです。日本人の国民性かもしれませんが、全ての領域において平均が取れる必要はないのです。大切なのは、その子の個性という余白をいかに伸ばしてあげるかです。勉強が全てでもなければ、1位が取れなければダメだというオリンピアン的価値観から少し距離を置いて目の前の子どもと向き合っていく余裕が大切です。
2022年02月16日 16:02