全国学力テストー上位校の分析
【全国学力テスト】トップ常連校の強み新型コロナウイルスの感染拡大を受けて2年ぶりの実施となった2021年度全国学力テスト。緊急事態宣言下の学校休校やリモート授業による大番狂わせが見られるかと思いきや、例年の上位校は今年もランクを維持。国語・算数の合計平均点で見ると、小中学校共に1位は石川県、2位は秋田県・福井県(中学校同率2位)。小学生3位は福井県と東京都。東京都の躍進が見られた他は、北陸勢と東北の秋田県が例年通り上位にランクインしました。ちなみに茨城県は小学生国語16位・算数13位、中学生国語30位・数学25位。中学生のランクが国語・数学共に前回調査よりも10位以上下落しています(茨城県教育委員会)。
北陸の公教育や秋田県の学校教育の特徴はこれまでもメディアや教育雑誌で多数取り上げられてきました。これら上位常連校はコロナ禍にあっても教育立県のポジションを失わず、伝統的な公教育の効果は短期間では崩れない盤石なものであることが明らかになりました。北陸県のテスト結果の特徴は、国語・算数共に記述解答への正答率が高いということが言われています。記述回答への抵抗感がない、あるいは文章題への抵抗感がないことの表れかもしれません。石川県や秋田県の学校では、授業中での生徒の発言や課題解決の時間を積極的に取り入れており、知識に偏らない授業が展開されています。いわゆる、対話型授業、探求型授業と呼ばれるスタイルです。この授業スタイル自体は、他の都道府県の学校も取り入れていますが、長年の教育成果の積み重ねも考慮すると、学力テスト上位校の学校は対話・探求型の授業に習熟していると考えられます。その他、多くのメディアで指摘されていることですが、家庭学習の支援が早期から伝統化されていることも大きいと考えられます。例えば、秋田県の指導する家庭学習は基本的に365日毎日行うものです。ノートに学習内容や調べ学習を記し、教師がチェック・コメント。ペースの速い生徒は年間に十数冊のノートを家庭学習として積み上げるそうです。生徒は自ら興味があるものならば生物の特徴や戦国大名などを次々に調べて来て、大切そうに見返す姿も見られるとのことです。もちろん、多くの学校が採用しているようなドリルに取り組む生徒もいるようですが、やはり繰り返す回数が他の都道府県と比べても多くなる傾向にあります。家庭学習の指導の充実は通塾率の低い北陸県や秋田県の大きな支えでもあり、毎日の積み重ねが教育成果となって表れることを示しています。茨城県も学校の方針によって家庭学習ノートがあったりなかったりしますので、課されている生徒は積極的に活用することを推奨します。もちろん、塾に通っているという生徒は塾の宿題とのバランスを図りながら活用していきましょう。1日1ページでも2ページでも、日々の学習の集積が進級や進学、受験の時にアドバンテージとして効いてくるはずです。
2022年01月04日 15:18